2008年3月に出版されたばかりの「
境域に立つ Ⅰ 現代人の危機と人智学 」をようやく読み終わった。(ドタバタしたり、読み忘れたりして1ヵ月近くかかった。)
バイオグラフィーの本というか医学の本というか、いかにも人智学らしい本なのだが、人智学を理解しようとする人にはぜひ読んでほしい本である。
最初はあまり期待していなかったのだが、後半、「二重惑星過程」がでてきて、これはおもしろいと思った。
ドニーさんの講演の内容 と同じなのだ。
「惑星諸過程に関する本書は以降の章で必要な背景を与えます。そこで、惑星の影響という観点が(とくに10章と二巻3章において)さらに掘り下げられます。いわゆる「二重惑星過程」の概念は、バイオダイナミック農法の調合剤のために五十年代初めに著者によって練り上げられ、その後ほどなくアントロポゾフィー医学にも応用されました。これは、二、三の出版物となって結実しました。その中で、一方では、農業調合剤の効果が明らかにされ、他方では、内科における病気の過程との治療の関連が明らかにされました。[1]同じ観点で霊的発達での障害にたいして合理的・霊的にアプローチする際の基礎になります。」(P155より)
注[1]より「B.C.J.Lievegoed『The Working of the Planets and the Life Processes in Man and Earth(人間と地球における生命過程と惑星の働き)』Stourbridge1951参照」とあり、これを訳してほしい!!ドニーさんのフランス語の本(Les actions des planetes et les processus de vie)はこれと同じなのだろうか?同じっぽい。どちらにしても、人智学を理解するためには、この「二重惑星過程」の概念は必須だろう。理解したいが難解だ。
また、「
星と人間 」の「
運命を規定する星・人間を解放する星 」の意味がよく分からなかったのだが、この「二重惑星過程」や10章で少し分かったような気がした。(というか、これが分かってないと「運命を規定する星・人間を解放する星」は理解するのは不可能な気がする)
この本は、前半、秘儀参入のことばかりかいてあるのでなんだかつまらないなあと思っていたのだが、ここを理解しておかなければ、境域に立った現代人を理解できないからだと、後半を読んで思った。後半、具体的なことになってくる。
「精神病は「失敗した秘儀参入」である、といってもそう不自然ではありません。」(P225)
境域に立つとは、現代人は、すでに秘儀参入できる状態になっているということ。そのため、無意識に秘儀参入した結果、神経症や精神病になってしまうのだという。古来は、周到に準備して、さらに師により守られながら秘儀参入したものらしいが、現代は、現実逃避や膨大な情報の中にいたりすると、無意識に境域と超えてしまい、その結果、色々な障害になるということだ。だから・・現代病は今までの歴史の中にはないわけか・・・。(あったにしても、少なかったのだろう)
著者のベルナード・リーヴァフッドのバイオグラフィーも書いてあるのだが、やはり人智学を本当に理解している人は、
社会的に価値がある ことをしている。社会が悪いから、知られていないとかの理由で、人智学が広がらないのではなく、人智学を応用して現在の社会に役立つこと(人々のためになること、人類進化を促進すること)をしていけばいいと思う。応用するれば、唯物論者や物質主義にも一目で分かるようなことができるでは。シュタイナーの受け売りではなく、自分なりに応用、加工して、自分の理論として確立し実行すれば、広がるし、どんな団体でも大きくなれるだろう。シュタイナーの受け売りが多いほど失敗するだろう。シュタイナー自身も信じてほしいわけではなく理解してほしいと言っていたハズ。そのためには「シュタイナー」を全面に出さずに活動し、実はシュタイナーの理論を応用しているんだよっというスタンスが一番混乱がすくなくてよいと思うのだが。
この著者は、ベストセラーになる本を出版したり、医学的に効果が確認されることもしているようだ。なにより、バイオダイナミック調合剤の効果を、「二重惑星過程」という説明でできるのがすごい。(「著者によって練り上げられ」とあるので、シュタイナーの受け売りではないのだろう) 理解したいところだ。理解できれば色々応用ができそうである。魂のありかたというか・・、魂とは?自我とは?アストラル体とは?エーテル体とは?肉体とは?を、全く理解していなかったことがよくわかる。のだが、まだ理解まで至れない・・・。でも、何度も読み返せば理解できるような気がする。
2巻目の「
境域に立つⅡ 」も楽しみだ。
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2008/04/09(水) 11:13:19 |
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